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COUNTDOWN JAPAN 12/13 クイックレポート



彼の歌声に触れるだけで、心が軽くなるように感じるのはなぜだろう。本番前のサウンドチェックで「カウントダウンー、楽しもうぜー」と歌ってオーディエンスを沸かせていた長澤知之。彼がMOON STAGEで繰り広げた30分ほどライヴは、どこまでも軽やかに浮遊するヴォーカルが、聴く者の胸を魔法のように温める一時だった。バンドをバックにステージに登場すると、どこか歪な熱気を運ぶ“THE ROLE”でライヴをスタート。自由に舞うハイトーンボイスがなんとも鮮やかで、瑞々しい感動をフロアに運んでくれる。イントロで大歓声が巻き起こったのは、続く“あんまり素敵じゃない世界”だ。《スタンド・アップ・ボーイズ/カモン・ガール》と歌う長澤の声にたぐり寄せられるようにMOON STAGEに次々とオーディエンスが集まってくる。

「ありがとうー、カウントダウンジャパンー」と歌うように語ったり、オーディエンスからの歓声に「オッス!」と返したり、ステージ上でなんとも楽しそうな長澤知之である。「2012年から2013年に移ろうとしているところでございます。僕はライヴ納めなので、『良いお年を』と言いたいです。マヤ暦では世界の終わりと言われていましたけど、ライヴが迎えられて良かったです」と語り、続けたのは“明日のラストナイト”。そこには新しい年へと移ろいゆく今だからこそ感じる、特別な響きがあった。

バンドサウンドをバックに熱い疾走感がMOON STAGEを駆け抜けた“MEDAMAYAKI”、彼の透き通った歌声に激しい感情の色が乗って昇華した“Blue Blue”と、楽曲ごとにガラっと歌の表情を変えながら、オーディエンスを魅了した長澤。「呼んでいただいてありがとう。そして、ここに来てくれて本当にありがとう。来年は音楽的にも、素晴らしい年になればいいなと思います」と語ってラストに披露したのは、“バベル”だ。曲に合わせてオーディエンスの手が揺れ、爽快な一体感がMOON STAGEを包んでいった。彼の鮮やかな歌声が、新しい年を祝福するかのように響いたステージだった。(大山貴弘)