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COUNTDOWN JAPAN 12/13 クイックレポート



2日目のEARTH STAGEも残すところ2組というところで登場するのはサカナクションだ。ステージが暗転するなり“『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』”のコーラスが響き渡り大歓声を誘う。沸々とエモーションが駆り立てられるのとシンクロして、ダンサブルなバンド・グルーヴが形成されていった。「どうもサカナクションです」と山口一郎(G・Vo)がひとこと挨拶すると、“モノクロトーキョー”“アルクアラウンド”で華々しいキーボード・サウンドが届けられ、草刈愛美(Ba)は身をよじらせるようなジャンプを繰り返しては強烈なベース・フレーズを繰り出すのであった。慎重なスタンスで人との距離を推し量るような歌ばかりなのに、その渦を巻く詩情は抗い難いものとなって押し寄せてくる。時代を席巻する名曲の数々は、ハンド・クラップを不特定多数のオーディエンスに一斉に打たせて止まない。ヴォーカルのハーモニーが広がりゆくシングル曲“僕と花”はバンドスタイルで演奏されたあとに、メンバー全員が横一列に並んでサングラスを装着し、それぞれがラップトップと向き合ってのセルフリミックス・ヴァージョンへとシームレスに連なって、今回のステージのダンス性を目一杯加速させていった。センチメンタルな思いが募るほどに強度を増すポップ・ミュージックが、この国の2010年代にはある。暗がりの中を走るレーザーの中で、再びギターを手に取った山口の「一緒に踊っていってくれー!」という呼び掛けに、僕たちは自我の置き所に迷いながらもステップを踏んで歌うことが出来るのだ。“ルーキー”では、メンバーが揃ってスティックを激しく振るうほどに、夜を駆け抜ける悲しみはよりクッキリと輪郭を明らかにしてゆく。「どうもありがとう、次で最後の曲です。みんな一緒に踊ってくれる?」と最後に跳ね上がるようなビートで披露されたのは、目下の最新シングル曲“夜の踊り子”だ。歌詞以外は言葉数少なく繰り広げられたパフォーマンス。しかし珠玉のダンス・ポップ・チューンの連打、それだけで今日のステージは充分だった。メンバーがステージを立ち去った後も、フロアの至る所でいつまでも拍手が鳴り止まなかった。(小池宏和)