【知りたい】マルシィはこの5曲を聴いてハマれ!

【知りたい】マルシィはこの5曲を聴いてハマれ!
2018年の活動開始以来、数々のラブソングを作り上げ、そのリアルで等身大の歌に多くの共感が集まるマルシィ。耳に残る切ないメロディライン、あたたかく(時に激しく)心を満たすようなバンドサウンドは作品をリリースするごとに進化し続けている。ソングライターの吉田右京(Vo・G)をはじめ、shuji(G)、フジイタクミ(B)の3人が彩るマルシィの歌世界は、ぜひアルバムでじっくり堪能してほしいところだが、彼らのポップソングの魅力を知るために「まずはこれ」という5曲をセレクトしてみた。彼らの芯にある「恋愛歌」の多様さにも、あらためて触れてもらえるのではないかと思う。(杉浦美恵)


①絵空

吉田が初めて作った楽曲は“Drama”であり、そのMVは2019年4月に公開されている。じわじわと楽曲の良さが知れわたる中で、2020年5月にマルシィは公式YouTubeチャンネルを開設すると、最初に“絵空”のMVを公開した。この楽曲がSNSを中心に大きな話題となり、マルシィの名は全国的に知られるものとなっていく。そして、配信リリースされたシングル『Drama/絵空』もロングヒットを記録。つまり“絵空”はマルシィがブレイクする大きなきっかけとなった1曲だ。過ぎ去った幸福な日々を追憶する、どうしてもその記憶を消し去れないでいる、その未練を包み隠さずリアルに綴る吉田右京のソングライティングに多くの共感が集まった。ラストの唐突なカットアウトは、幸福な日々が突然の終わりを迎えたこと、続くはずの記憶がそこで途絶えたことを表現しているようで、より楽曲の切なさを際立たせる。感情を思い切りぶつけるのではなく、透明度の高いやわらかい歌声で表現する歌世界は、当初から多くのリスナーが自身の経験を重ねやすい普遍性を兼ね備えていた。

②未来図

2022年6月、マルシィはメジャーデビューを果たした。1stアルバム『Memory』は「恋の始まりから愛が終わるまでの記憶」をひとつの作品としてまとめたもので、まさにマルシィというバンドの主題をこの1枚で感じ取ることができる作品となっている。吉田右京の書く恋愛曲は、過去の切ない記憶、悲しみ、寂しさを描くものが多いが、ひとつの物語として編まれたこのアルバムには、もちろん恋愛期における「幸福」な時間を歌う楽曲もいくつかある。この“未来図”もその1曲と言えるだろう。それでいて、どこかその「幸福な未来のイメージ」はやはり叶わなかったのではないかと思わせるような、吉田のやわらかな憂いを含む歌声が魅力の楽曲であり、様々な解釈を可能とする歌である。だからこそ多くの人の心を掴んだ。Jポップの名曲として今後も聴き継がれていくであろう、メロディラインの美しさが際立つ1曲。

③大丈夫

恋愛曲のイメージが強いマルシィには珍しく、“大丈夫”は聴く者の背中をやさしく包み込むような、ストレートな応援ソングだ。全日本高等学校・全日本中学校チアリーディング選手権大会を応援するポカリスエットのWebムービーのために書き下ろされたという背景があり、マルシィは初めてこの「応援」というテーマに挑むこととなった。思い切り背中を押すというよりも、これまで経験してきたどんな出来事も肯定して、今ここに立っていることを祝福してくれるような、とてもマルシィらしいあたたかい曲である。歌詞はもちろんのこと、バンドサウンドもまた、未来に向かって進んでいくすべての人の人生を明るく照らすようにポジティブな響きを持つ。コロナ禍が落ち着き、観客の声出しも解禁となってからのライブでは感動的なシンガロングも起こり、多くの人の心に寄り添う楽曲であることを実感させた。2ndアルバム『Candle』に収録されている。

④ラブソング

これまで数多くの恋愛曲を紡いできた吉田右京が、シンプルに“ラブソング”と名付けた、マルシィ史上最もストレートにあたたかく愛を歌うのがこの曲だ。この楽曲も2ndアルバム『Candle』に収録。吉田自身が「僕の中では、これが今までの曲の中でいちばん『ラブソングだ』と思えた」と言うほどに決定的な1曲である。どんな未来も受け入れて一緒にいたいと思う、その変わらぬ「愛」をまっすぐに綴ったこの楽曲は、マルシィが描く歌世界をひとつ大きく広げるものとなった。これまで自身の経験や記憶を歌に込めてきた吉田の、ソングライターとしての眼差しの変化を感じ取れるものでもある。これまでは幸福な未来を思い描くときにもどこか不安や心配を滲ませていたのが吉田のソングライティングであり、それがリアルな共感を呼んできたのだが、この楽曲ではそうした不安を凌駕するほどに未来への希望が溢れる。だからこそ純粋に真正面から“ラブソング”と名付けたのだろう。あたたかなバンドサウンドも格別な響きで鳴る。

⑤もしもの続きを少しだけ

2ndアルバム『Candle』に収録された楽曲だが、実はこの曲、マルシィがまだ福岡で活動をしていた初期からあった楽曲であり、ライブではおなじみの人気曲である。多くのファンが音源化を待ち望んでいた。そうした経緯は1stアルバムに収録された“プラネタリウム”も同様だが、“もしもの続きを少しだけ”はまさに「待望の」音源化だった。ポップなダンスロックチューンはライブでも当初から盛り上がりを見せるものだったが、音源化にあたりアレンジがかなり練られた。フジイのベースは弾むような心強さで吉田の歌とともに響き合い、フェイザー等、モジュレーション系のエフェクトを駆使したshujiのギターソロはどこかスペーシーな揺らぎを携える。最初期曲でありながら最新を表現する楽曲へとアップデートしたこの曲は、メンバーいわく「タイムマシン感」を意識したとのこと。まさに、マルシィのバンドサウンドの進化がしっかりとここに刻まれている。今後もライブの定番曲として、常に更新されていく曲となるはずだ。


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