MONGOL800 | ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2013 | クイックレポート

時刻は午後1時というところで、流れ出す小気味良いSE(“Enjoy Yourself (It's Later Than You Think)”)のエイサーのリズムに、さっそく手をかざして揺らめかせる一面のオーディエンス。今年、結成15周年を迎えているMONGOL800の登場だ。初っ端から全肯定の裏打ちメロディック・パンク“DON'T WORRY BE HAPPY”で歌声を誘い、疾走感と包容力を兼ね備えた“愛する花”が情熱と潤いを運んでくれるようだ。「ハイサーイ！　元気ですかー！？　ていうか、ちょっと肌寒いぞ、ひたちなか。俺は沖縄から来たんだよ。もう一汗かきませんか？　おかげさまで15周年を迎えることが出来ましたー！！」と上江洌清作(Vo/Ba)。彼のヴォーカル・フレーズが跳ね上がってスタートする“PARTY”では、儀間崇(G/Vo)もステージの淵にまで身を乗り出してギターを弾きまくっている。とことんシンプルなのに、なんて豊かで力強い音楽なのだろう。「いつまでも歌い続けてやるぞ、どこまでも届けてやるぞこのやろうっ！！」とキヨサクはエキサイトした言葉を投げ掛けるけれど、それってモンパチがデビュー以来、ずっとやり続けて来たことでもあるだろう。

ベスト盤と立て続けにリリースしたニュー・アルバム『GOOD MORNING OKINAWA』から“Love song”を披露すると、「よし、もいっちょラブソングいくぞ……小っちゃいやつ」と大歓声を誘って“小さな恋のうた”へ。キヨサクは歌い出しの1小節だけで、続く歌詞をオーディエンスに丸投げしてしまう。ワンマン公演じゃないぞ、フェスでこれをやってしまうのだ、モンパチというバンドは。そして一転、15年の歩みの中ではこんな名曲も摑み取ってきた。モンパチの力強くどこまでも潔癖な祈りの調べ“神様”だ。髙里悟（Dr/Vo）のビートはメッセージに寄り添い、支えるように響き渡る。この曲の終盤、フィールド一面にかざされたピースサインが美しい。宇宙の彼方にまで想いを届けんとする光景を突き破り、渦巻く感情を豪腕ファスト・パンクで叩き付ける“矛盾の上に咲く花”へ。その言葉と音楽の伝達力を最大限に引き出した、ディープな楽曲群の連打だ。

そして“face to face”、またもや歌を預ける“あなたに”と、一口に15周年だからとは言い切れない、モンパチだからこその濃密な時間をもたらしてくれたのだった。（小池宏和）