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ASTRO ARENA16:55

夜のはじまりを彩る深淵なる輝き

日没が近づき、いよいよ2015年最後の夜がやってくる。この夜のはじまりを告げるようにASTRO ARENAに音を注いだのは、国内のみならず海外からも熱い視線を集めている神戸発の4ピース・The fin.だ。COUNTDOWN JAPAN初登場である。The fin.のロゴがスクリーンに映し出される中、Yuto Uchino(Vo/Synth/G)、Ryosuke Odagaki(G)、Takayasu Taguchi(B)、Kaoru Nakazawa(Dr)が登場。シンセの音が次第に大きくなっていき、そのまま“Illumination”へと流れ込む。青く照らされる中、ゆっくりとリズムを刻むNakazawaのドラムが、まるで深い森を彷徨う最中に見える道標のように心強く響く。「Thank you so much! こんばんは!The fin.です」(Uchino)と軽やかに挨拶し、 “Veil”では少ない音数の中で空気に溶け込むようなUchinoの澄んだ声が響き、ヴォーカリストとしての力を見せつけた。

「どうですか? COUNTDOWN JAPAN、いい感じ? いいね! 2015年の終わりに騒ぐだけ騒いで終わるみたいな」と、MCではまるで友達と話すようなラフな表情を見せる。そして「2015年はいろいろなところに行って。アメリカに行って、アジアツアーに行って、イギリスに行って、そしていま日本にいて。最後、こうやって自分が生まれた国でできてうれしいです」と今年1年を振り返り、クリスマスイヴにSoundCloudで発表された新曲“Anchorless Ship”を披露。雪が降るような輝きを帯びたシンセの音色が舞ったかと思えば、Uchinoもギターを手にした“Misty Forest”ではファニーな側面も見せる。シンセポップ、シューゲイザー、チルウェイヴなどを昇華したサウンドは、緻密でありながら肉感的で、快楽の彼方へと誘ってくれるよう。オーディエンスも心地よさそうに身体を揺らしている。

“Night Time”では、強固なバンドアンサンブルを見せ、ASTRO ARENAをドラマティックでエモーショナルな空気に染めていく。そして、「ありがとう。最高!」(Uchino)と笑い、荘厳で雄大なサウンドスケープを描いた“Glowing Red On The Shore”でこの日のステージは幕を閉じた。(岡崎咲子)

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