UVERworld/日産スタジアム

UVERworld/日産スタジアム - All photo by 平野タカシAll photo by 平野タカシ

●セットリスト
01.Don't Think.Feel
02.ナノ・セカンド
03.7th Trigger
04.Fight For Liberty
05.KINJITO
06.FINALIST
07.VICTOSPIN
08.WE ARE GO
09.Wizard CLUB
10.激動
11.RANGE
12.BABY BORN & GO
13.REVERSI
14.23ワード
15.ビタースウィート
16.Massive
17.来鳥江
18.One stroke for freedom
19.Don't Think.Sing
20.PRAYING RUN
21.Touch off
22.零HERE~SE~
23.IMPACT
24.EN
25.Theory
26.AFTER LIFE
27.MONDO PIECE


UVERworld/日産スタジアム

「最高だなおい! こんな――バカげてるけど、最高だなおい! バカげてればバカげてるほど、最高だなおい!」

灼熱の夏空を貫くような男性Crew(ファン)72000人による“REVERSI”の超弩級のシンガロングを受けて、TAKUYA∞(Vo・Programming)も弾けんばかりの歓喜の表情とエモーショナルな絶叫で応えていく。「6 VS 72000」とライブタイトルにも掲げられている通り、メンバー6人がオーディエンスに「届ける」ロックショウとは一線を画した、魂と魂がせめぎ合い高め合う巨大なロック空間が、この日の日産スタジアムには確かにあった。

UVERworld/日産スタジアム

2011年からUVERworldが開催してきた男性限定ライブ「男祭り」が、2019年の「UVERworld KING'S PARADE 2019 男祭り FINAL at TOKYO DOME」(45000人を動員)で男性限定ライブ動員数の日本記録を打ち立ててから約3年半。コロナ禍で声援も合唱もままならなかった時期を抜けて実施された、UVERworld日産スタジアム2DAYS公演の2日目。72000人の男性Crew(と888人の女性Crew)と真っ向勝負を繰り広げてみせた「UVERworld KING'S PARADE 男祭りREBORN at NISSAN STADIUM 6 VS 72000」は、UVERworld史のみならずロック史に深々と刻み付けたい金字塔的な激演だった。

UVERworld/日産スタジアム
UVERworld/日産スタジアム

メインステージと後方のサブステージを結ぶ花道が、アリーナを取り囲むように長く設置された日産スタジアム。「男祭り」Tシャツで真紅に染め上げられた場内には、開演前の誠果(Sax・Manipulator)のDJの時点から雄叫びの如き男性Crewの大合唱が渦巻いている。そして――。会場一丸のカウントダウンのあと、舞台を覆い隠すほどの勢いのスモークの中、TAKUYA∞、克哉(G)、彰(G・Programming)、信人(B)、真太郎(Dr)誠果の6人が姿を現し、特攻の花火の轟音とともに“Don't Think.Feel”へ流れ込むと、「割れんばかりの」という言葉すら生易しいほどの圧巻のシンガロングがスタジアムに鳴り渡る。
続く“ナノ・セカンド”で一面のOiコールとジャンプに合わせてスタンドが揺れたところで、さらに“7th Trigger”“Fight For Liberty”と畳み掛け、刻一刻と熱量と狂騒感を増すCrewを「足んねえなぁおい!」とTAKUYA∞がさらなる頂へと煽り立てていく。

UVERworld/日産スタジアム
UVERworld/日産スタジアム

「美しく着飾ろうとか、無意味だからな! 金も地位も名声も役に立たねえ。いちばん価値があるのは、俺たちの声!」というTAKUYA∞の言葉とともに、ステージにはゲスト:ANARCHYが登場。最新アルバム『ENIGMASIS』収録のコラボ曲“FINALIST”でロック×ヒップホップの激突と共闘の名場面を展開し、熱いハグを交わすANARCHYとTAKUYA∞を称えるように、怒濤の大歓声が巻き起こる。

「日産スタジアム史上、最高の盛り上がりを叩き出したい!」と意気込みを語り、上半身裸になってCrewを挑発する真太郎。「こんな自分、見たことないよ! 今日は本当に解き放たれてる!」と多幸感を露わにするTAKUYA∞。場外に集まった音漏れ女子Crewにも呼びかけながら、“VICTOSPIN”“WE ARE GO”と惜しげもなくキラーナンバーを連射する。
“Wizard CLUB”では、克哉&信人、誠果&彰がステージ上手/下手の花道をライザーに乗ってサブステージへ移動、さらに“BABY BORN & GO”では真太郎がライザーで移動しながらドラムを叩く(!)一幕も。全員がサブステージに集結したところで“REVERSI”渾身のスタジアム一丸の大絶唱! 「あなたの青春時代はいつだ?と訊かれたら、俺は今日、2023年7月30日と答える!」というTAKUYA∞のスクリームに、Crewの情熱はさらに奮い立っていく。ハイパーかつスリリングな演奏を繰り出す6人にとって、広大な日産スタジアムは丸ごと自分たちの舞台であり、72000人との対決と邂逅の場でもある。破格のスケールのライブアクトだ。

UVERworld/日産スタジアム
UVERworld/日産スタジアム

後方スタンドの女性Crewに向かって“ビタースウィート”を披露したあと、メインステージに戻ったメンバーは、ゲストの山田孝之&愛笑むを迎えての“来鳥江”からさらなる熱狂のクライマックスへ向けて爆進していく。「ライブ前、ミート&グリートしたファンは義足だった」とTAKUYA∞が語り、「身体的に走れる・走れないの話じゃねえんだ! 心が止まってるか・止まってねえかの話なんだよ!」と観る者すべてに訴えかけながら轟かせたのは“PRAYING RUN”だった。《全部やって確かめりゃいいだろう》と夜空に突き上がる一面の大咆哮は、全瞬間ピークポイントのこの日の中でもひときわ深く強く印象に残った。

UVERworld/日産スタジアム
UVERworld/日産スタジアム

「悔しかったんだよ、本当に。自分の意志以外で、自分の夢を絶たれるなんて。やめる時は自分で決めるって。だから、意地でも動いて、リリースも続けたし、ライブも無観客でもやり続けたし。俺は、3年前の暗いトンネルに入る前よりも、出た瞬間のほうが成長してる――俺はそう思えてる」。ライブ終盤、TAKUYA∞がコロナ禍の葛藤を抱えつつ「日産スタジアムでの『男祭り』」を夢想していた日々を振り返る。「別に、暗くなった日本を元気づけたいわけではない! ただ、やりたいからやるだけです! それでいいんだよ! お前らも、やりたいことやれよ!」……苦境でも己を信じ、己を曲げずひたむきに突き進んできたUVERworldそのもののメッセージが、Crewの心をなおも沸き立たせていた。

UVERworld/日産スタジアム
UVERworld/日産スタジアム

“EN”から“Theory”、さらに“AFTER LIFE”へと名曲を繋ぎ、最後の“MONDO PIECE”では72000人が肩を組み合ってシンガロングを響かせる――。バンドと音楽に人生を懸けてきた6人と、その音楽と生き様に心揺さぶられた72000人の人生が、途方もない規模のロックの爆発力を生んだ、最高のステージだった。

なお、8月30日(水)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』10月号ではさらに詳細なライブレポートを掲載予定なので、そちらもお楽しみに。(高橋智樹)

公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする