映画『アイアムアヒーロー』にブッ飛ぶ

映画『アイアムアヒーロー』にブッ飛ぶ
日本のコミック表現は、全く規制がないわけではないけれど、作家たちの発想がすごく自由であり、本当に世界に誇れる文化だと思う。
そんな日本のコミックを映画化するとき、そこにはどこまでその原作の自由な表現を純度高く映像化し、技術/予算/描写――あらゆる面で、どのようなバランスでメジャー作品として成立させるかというせめぎ合いが、ほぼ必ず生じると言っていい。

しかし花沢健吾の人気コミックを映画化した『アイアムアヒーロー』を試写会で観て、噂には聞いていたけれど、想像を遥かに超えたものになっていて驚いた。
『アイアムアヒーロー』というマンガの自由な表現を純度高く映像化することをどこまでやれるか、ただそれだけを果てしなく追求した映画になっていたのである。
原作コミックとは違う映画ならではの良さを追求するのとは違う。
原作コミックの表現に映画の表現でひたすら正面から勝負し、結果的に原作コミックを知らない人が観ても強烈に楽しめる映画になっていたのだ。
「日本のマンガなめんな!」と世界中に叫ぶようなリスペクトの心と、「日本の映画なめんな!」と世界中に叫ぶような反骨の心が、佐藤信介監督をはじめとするこの映画に関わった人々のなかで健全に火花を散らしながら作られたのだと感じる。
あらゆる面でメジャー作品としては、かなり無謀なこともしていて、この映画を日本で最もメジャーな映画会社である東宝が配給しているということに驚きを覚えるほどだ。
しかし僕は、この映画は成功すると思う。
ここまでやったなら、成功すると思う。

公開は4月23日。
CUTは、映画『アイアムアヒーロー』を応援します。(古河)
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