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アスパラにノーザンと爽快なメロディック・バンドが続いたあとは、ちょっとアダルトに、AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)を聴かせるヒダカトオルとフェッドミュージックの登場である。BEAT CRUSADERS散開後、昨年はソロでの登場となったヒダカと2009年にも出演しているFed MUSICという、ポップ/ロック・オタクで最高のメロディメイカーである両者の最高のタッグ。結成のきっかけは、「カジヒデキとリディムサウンター」に触発されて、ヒダカがフェッドのメンバーに冗談でツイートしたことだという。そんな結成のいきさつも、MCで語られた。

「リディムの音楽とかぶらないように、ボズ・スキャッグスとかビリー・ジョエルみたいなAORにしたんだけど――全然、AORじゃなかった。今日は、LOW IQ 01&MASTER LOWかウチかというくらいお洒落にいきたいと思います」(ヒダカ)。そして、5月にリリースされたアルバム『REPLICA』(このネーミングもナイス)からの曲を中心に、ヒダカトオル(Vo・G)と、久楽陸(Vo・Key)のふたりが曲によってメイン・ヴォーカルをバトンタッチしていく。しかし、いいヴォーカリストがふたりいるというのはいいもんである。たとえば“The Long Good-bye”は都会的で哀愁味のあるメロディがまさにAORな1曲なのだが、ヒダカの泣きの入ったヴォーカルが映えてなんとも切なく、そしてグッド・メロディのソフトロック・ナンバー“Emitt Paul”は、久楽のジェントルなハイトーンがばっちりハマって、思わず聴き入ってしまう。

「昨日のMONOBRIGHTでもこのステージで、このくらいの時間帯だったけど。44歳をこの時間にフォレストに立たせる? ロッキング・オンは俺を殺す気だよね」とヒダカ。会場を歓声と笑いで包みつつ、「癒されていってくださいね――俺たちは、(暑くて)癒されないけど」と自嘲気味に付け加えた。そんな暑い夏にぴったりのパーティ・チューンで、ブリージィな旋風を巻き起こしたのは、“The Fantastic Treasure”。ヒダカと久楽のハーモニーが爽快にSOUND OF FORESTを吹きぬけていった。カジヒデキとリディムサウンターと同じく、ヒダカトオルとフェッドミュージックも期間限定で、この夏フェスシーズンが終われば解散。最強のユニットなのに、残念としか言いようがないが、夏はまだまだ続く。「また夏フェスで会いましょう!」(ヒダカ)の言葉で、彼らは爽やかにステージを去った。(吉羽さおり)