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 さあ、SOUND OF FORESTの2番手を務めるのは、ユニットとしてはRIJ初出場でありながらも、それぞれが百戦錬磨のヒップホップMCでありまた盟友でもある、MCUとLITTLEのULだ。DJ SHUHO がビートを繰り出して温めるステージに、MCUがまるでホルスタインのような白地に黒ドットの、LITTLEが真っ青なツナギを着て登場。シンセ音がビュンビュンと飛び交う、しかしリズムの方はオールドスクールな間をたっぷりと取ったファンキーなビートで、名刺代わりとばかりに“Sucker MC UL ver”をキックする。もう、この2人のさすがとしか言い様のないコンビネーションのマイク・リレーに触れるだけで胸が高鳴ってしまう。続いてディスコ風の華やかな“Get Up and Dance UL ver”でがっちりとオーディエンスに熱を加えてゆくとLITTLE、「初めまして、俺たちがULです! 俺がLITTLE。こっちがMCU。みんな元気そうじゃねえかよ!? こんなときにウチに閉じこもってたってつまらねえもんな!」と挨拶。そしてMCUはアカペラで、世相を斬るライミングをじっくりと繰り出しつつ、新曲“寄り添う”へと繋げてゆく。キラキラと煌めく美しいサウンドのレイヤーの中で、2人のラップが交差してゆくのだった。
 この後にはエモーショナルな、深いメロディとフロウによって構築された“夢の中へ”と新作チューンが続き、「今年は俺たちの想像を超えるような出来事があったけど、今回のステージは頑張って作ったんだと思う。みんなも、行く先々で、その場所をホームと呼べるようにガッチリやってください……でも、ホームと呼ぶからには、一人じゃ寂しい!」とLITTLEが今度は“HOME TOWN”へと繋ぐ。メロウなフックによって織り成される、温かみに満ちたナンバーだ。ULは3.11をきっかけに結成されたユニットというだけあって、2人のマイク捌きによる高揚感だけではなく、今の困難な社会でタフに生きてゆくために必要な優しさや温かさ、そして滲み出るような強い意志を多くの楽曲から受け止めることができる。MCUが「UL最後の曲です。初めて作った曲です。150万ダウンロード達成! いこうか」と告げて披露されたのは、もちろん“By blow bye bye blow”だ。印象的なコーラスにオーディエンスが揺れる。楽曲プロデュースを務めたKREVAの活躍も含め、最後にMCUが投げかけた「みんな、友達大事にしてくれよー!」というメッセージは、こんな時代だからこそ力を結集させたULの、活動の必然をも物語っている気がした。(小池宏和)