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西日がさしはじめたWING TENTを、濃厚な色香が匂い立つロックンロール空間に変えたのは a flood of circle! がっぷり四つに噛み合ったバンド・サウンドと、ささくれ立った佐々木(Vo/G)のヴォーカルが、ダークで肉感的なグルーヴをぐいぐいと引っ張っていく。その息をもつかせぬ展開に、WING TENTは背徳的で快楽的な空気がただよう最高のダンスフロアへと化していった。4曲目“泥水のメロディー”を終えたところで、やっとのことで「おはようございます! a flood of circleです!」というMCが。しかし軽いトークを終えるとすぐさま“ロシナンテ”、新曲、“プシケ”と3曲立て続けに畳み掛け、佐々木のシャウトによるメンバー紹介を挟んで電光石火のステージを終えた。 粗削りだけど洗練されていて、野性的だけど都会的で、艶っぽいのにマッチョ。そんな、相反する要素をスピーディーなサウンドに乗せてぶちかまし、危ういほどの色気を放つ彼らのロックンロールは、ブランキーやミッシェルなどの90年代のロックシーンを牽引してきたバンドを彷彿とさせるようなカリスマ性を携えている。そんな彼らの大きな可能性を十分に体感できた、至極の30分間だった。(齋藤美穂)