“それではみなさん良い旅を！”での彼ららしい祝福ムードでライヴをスタートさせた、髭。楽しいパーティの準備はすぐさま整い、「フフッフー！」の掛け声がオーディエンスもばっちり決まった“ハリキリ坊やのブリティッシュ・ジョーク”へ突入すると、須藤寿（Vo・G）によるフニャフニャした体の動きとヴォーカルも、COSMO STAGE全体をゴキゲンなモードに上げていく。「今年はみんなどんな１年だった？ 俺たちはね、終わってみたら７人になってた！ 最高だよね」と須藤がフレンドリーに語ると、更にハイテンションな“テキーラ！テキーラ！”へ。そう、今回のライヴは踊ってばかりの国の佐藤謙介（D）が加わり、３人がリズムを刻んでいる。その個性的なバンド・スタイルは、かつてないほど自由自在かつ自然体な感じがして面白い。
フロントで歌う須藤も昔に比べたら随分、気取らず真摯に歌と向き合うようになった。だから「愛してるよー！」なんて言葉も、真っ直ぐに届くのだ。そして「これがロックンロールだよ！」と“ロックンロールと五人の囚人”へ。髭がロックの中で融合させたユーモアとシニカルは凄まじい化学反応を起こして、こうして今でもオーディエンスを熱狂させる。バンドが転がり続けて、変遷を重ねていくうちに、以前からある曲たちはどんどん解放されていっている感じがする。それはこのたくさんのオーディエンスたちの、素直な盛り上がりが証明しているのではないだろうか。
スギちゃん的な衣装を着た佐藤“コテイスイ”康一（D）が、ステージ前方で旗を振って煽り、「ワイルドだろぉ～」と言い放った“ギルティーは罪な奴”でもカオティックな熱気ムンムン。ラストの“虹”では今の髭の広がりと安定感のあるサウンドを心地良く響かせてくれて、オーディエンスはその大きな遊び場で思う存分に楽しんでいた。体験した者だけがニヤリと笑い合うような、そんな最高な髭の最高なロックは、２０１２年の暮れにも、また新しい形で鳴っていた。（上野三樹）
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