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エイフェックス・ツインによるオープニングSEが鳴り響き、フロアを埋め尽くすオーディエンスから歓声が沸きあがる。GALAXY STAGEの次なる出演者はART-SCHOOLだ。4ピースの美しい爆音、これぞART-SCHOOLというサウンドが素晴らしい立ち上がりを見せ、“FADE TO BLACK”のメロディを木下が吐き出す。続いて鈴木の大振りでダイナミックなドラムが打ち鳴らされ、木下の「アアッ!」というシャウト一閃、“水の中のナイフ”へと繋いでゆく。2010年には結成から丁度10周年を迎えた彼らだが、オルタナティヴなロック・サウンドを完全にひとつの「王道」へと導いていったバンド・キャリアがステージにドンと現れるような、見事な完成度を誇るパフォーマンスになっている。“MISS WORLD”に続いての“サッドマシーン”では、まるでそのサウンドと歌に呼応するかのように、光量控えめに照明の当てられたステージから木下の昂ぶったコーラス・フレーズとギターの悲鳴のごときノイズが届けられた。

「えー、夏に出したミニ・アルバムから、2曲やります」という紹介を挟み込んでプレイされたのは、一転してダンサブルで温かみに満ちた“ecole”と、永遠に続くような気だるさと染み付いた悲しみに彩られる、美しい“Loved”である。「……うわあ、すげえ人いるな、これ……オラに、元気玉をください……」と両手を掲げてみせる木下。満場のフロアからも掌がかざされるのだが、例によっていざMCとなると木下が小さい声でボソボソと話すので、フロア後方にまでは呼びかけが届かないらしい。それも実に彼ららしい一場面。そしてイントロが鳴らされた瞬間に大きな歓声が沸きあがった“あと10秒で”からは、必殺ナンバーの連打である。“ロリータ キルズ ミー”、さらに“UNDER MY SKIN”と続いていく。

「来年も会いましょう! 僕らの今までのGALAXY STAGEでは、一番お客さんが入ったんじゃないでしょうか、嬉しいです。ありがとう」という一言を添えて、最後にそんな嬉しさもアンサンブルの豪放さを増幅させてしまう圧巻の“OUTSIDER”が披露される。この雄弁なサウンドと歌があれば、これだけたくさんの人々を繋ぎ止めることが出来てしまうのだ。(小池宏和)