鴻鳥先生の優しさを四宮先生が批判! 自然分娩にこだわる母親が登場。『コウノドリ』第4話レポ

TBS系ドラマ『コウノドリ』第4話はトーラックというリスクの高い出産方法に挑戦したい妊婦、秋野蓮(安めぐみ)がペルソナ総合医療センターを訪れる。蓮は長女(美奈)に時々、辛く当たってしまうのは帝王切開で産んだからではないか、陣痛を味わって産道を通して産んだ方が愛情が湧くのではないか、と考えている。そこで「過去に帝王切開を経験したことのある妊婦が経膣分娩(自然分娩)に挑戦する」トーラック(TOLAC)という出産方法があることを知る。助産師の小松(吉田羊)に「それは思い込みだから気にしちゃダメだよ」と言われても、鴻鳥先生(綾野剛)に「子宮破裂などのリスクが伴います」と言われても、その意志は変わらない。

四宮先生(星野源)は病院が人手不足に悩まされていることもあり「お前のその優しさのせいで妊婦はもちろん俺達も余計なリスクを背負わされるんだぞ」と責めたが、鴻鳥先生は「僕だってトーラックは怖いよ。でも僕らの仕事は妊婦にトーラックをやめさせることじゃない。人が少ないから、忙しくて余裕がないから妊婦の希望に添えないなんて根本が間違ってるんじゃないかな」と、はね返す。

人材不足という背景があるからこそ、どんなに忙しい局面でも時間になれば空気を読まずにササッと帰る研修医の赤西吾郎(宮沢氷魚)に下屋先生(松岡茉優)は呆れていた。彼の「産科医の息子だけど産科医になりたいわけじゃない」というスタンスは四宮先生も鼻につくらしく、「痛い思いをしてまでなぜ自然分娩を希望するのかが理解できない」と言う吾郎に「切らなくていいお腹を何でわざわざ切る必要がある? そんなの優しさでも何でもない。それで産まれて、お前は心からおめでとうって言えるのか?」と厳しい表情。

いよいよ蓮の陣痛が始まり、入院することに。お産はなかなか上手く進まず、トーラックでは陣痛促進剤も使えないため、鴻鳥先生は帝王切開に切り替えることを勧める。それでも「絶対に下から産みます!」と痛みに耐え続け、長女に「もっと良いママになるからね、がんばるから!」と言うのだが、幼心に心配だったのだろう「ママはがんばってる!」と泣き出してしまった。夫も「もう十分がんばったよ、蓮は良い母親だよ」と言葉をかけ、ようやく緊急帝王切開することになった。彼女の「もっと良きママにならなければ」という強迫観念のようなものがリスクを冒してまでも自然分娩で産みたいという挑戦に繋がったのかもしれない。「ママはがんばってるよ」という家族の言葉や、赤ちゃんが産まれた時の「赤ちゃんにとっても美奈ちゃんにとっても秋野さんが世界一のお母さんなんです」という鴻鳥先生の言葉が、どれほど彼女の気持ちを楽にしたことだろう。

ちなみに今回はNICUに赤ちゃんを預けたまま夫婦で旅行に出かけてしまうというちょっと困った母親役で木下優樹菜がゲスト出演。彼女自身もトーラックでの出産を経験していることもあり(筆者も彼女の経験談によりトーラックを初めて知りました)、タイムリーな出演となった。そして研修医の吾郎は今回の帝王切開に立ち会い、妊婦に心から「おめでとうございます!」と言えたことで何かが変わった様子。後に鴻鳥先生から、四宮先生自身も「産科医のジュニア」であることや研修医時代に「絶対、産科医にはならない」と言っていたことを知らされた。昔の自分を見ているようで、ついつい厳しいことを言ってしまうのね〜!と視聴者も盛り上がるエピソードだった。

今回のダメパパNGワードは「屋形船」。陣痛が始まった妻に付き添って病院に来た夫が、助産師・小松に「あの、産まれるのって何時くらいですかね? もし間に合えばこの後、同僚たちと屋形船に乗って……」と質問するシーン。呆れ返ったように「は、屋形船? 屋形船!?」と繰り返したのが最高だった。無事に出産が終わると「バカなこと言って、すみませんでした!」と反省しきり。こうした経験を繰り返しながら、家族が少しずつ家族になっていく姿さえこのドラマは描いている。(上野三樹)
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