老若男女に、最上級の《ふつう》を

東京事変『ふつうとは』
発売中
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東京事変 ふつうとは
東京事変がNHK『みんなのうた』に書き下ろした“ふつうとは”。浮遊するようにゆったりしたテンポには、鮮烈な問いかけにも思えるタイトルとは裏腹な心地好さがある。また、ささやかでムーディなトラックからは、オーダーメイドのような上質な手触りが感じられて、『みんなのうた』という番組と、子どもも含めたリスナーに対する敬意が表れている。

《れいとうこのおくとっておきまっちゃのアイスクリーム》という、生活の中にありそうなシチュエーションや、《ねえレッサーパンダってにんげんをどうおもってんの?》なんて素朴な疑問。《ふつう》をぎゅっと私たちに引き寄せたところで、《りゆうもなきちからよ どんぴしゃり みょうに》と、膝を打つフレーズに着地する。そして、この楽曲もある種《ふつう》だからこそ心地好いんだと、裏腹だったファーストインプレッションがひっくり返るのだ。「普通って何?」など、怒りや悩みの起因ともなりがちな言葉だけれど、これを聴いていて湧き上がるのは、また違う感情。《ふつう》が《ふつう》じゃなくなっている今、《ふつう》の大切さ、愛おしさを思う。(高橋美穂)

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