今も続く祝祭の原点

U2『ヨシュア・トゥリー [30周年記念盤]』
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ALBUM
U2 ヨシュア・トゥリー [30周年記念盤] - 『ヨシュア・トゥリー』30周年記念盤  デラックス『ヨシュア・トゥリー』30周年記念盤 デラックス
日々、入ってくる『ヨシュア・トゥリー』30周年記念ツアーのニュースは興奮させられるものばかりだ。87年、自らのアイリッシュ・ルーツと、その先にあり、自分たちも大いに影響を受けたロックンロールやブルーズ、ゴスペル、カントリーなどのアメリカン・ミュージックと向かい合うことで音楽的なアイデンティティを確立した『ヨシュア・トゥリー』は、今でもU2の歴史の中で特別な存在感を示している。

ブライアン・イーノ&ダニエル・ラノワによるプロデュースはタイトかつ豊かな空間作りに成功し、それを今回はステージ上で再現しているが、ディスクでも再確認させてくれるのが“30周年記念盤”だ。通常盤に加え、ジャケット写真も変更され、87年のNY、マジソン・スクエア・ガーデンでのライブCDが付いた2枚組“デラックス”版、さらに最新リミックス盤やシングルB面、アウトテイクが収められた4枚組の“スーパー・デラックス”版が出る。注目は17曲中16曲が未発表の87年ライブで、音の奥に流れるスピード感が圧倒的だ。ルーツ・ミュージックに向き合うと同時に自分たちが到達した地点に対する絶対的な信頼が音の渦となりステージ上から吹き下ろしてくるようで鳥肌が立つ。“終りなき旅”の最後にボブ・マーリーの“エクソダス”の一節を入れてから“MLK”へとつなげたり、“神の国”と“イグジット”の間に“サンデイ・ブラッディ・サンデイ”を挟み込んだりとすべてが有機的につながり、砂漠の木に大きな実を実らせていっている。 (大鷹俊一)
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