ブルーノ・マーズと僕らの親密さについて(ロッキング・オン最新号の編集後記より)

ブルーノ・マーズと僕らの親密さについて(ロッキング・オン最新号の編集後記より)
それにしてもブルーノ・マーズの東京ドーム7回公演というのは凄かった。テイラー・スウィフトですら4回である。テイラー・スウィフト以上に強いアーティストは今の時代に存在しないはずだから、日本でのブルーノの人気は異常と言えるだろう。ちなみに東京ドーム7回公演というのは92年のマイケル・ジャクソン、95年のローリング・ストーンズ以来29年ぶりだそうだ。

ブルーノ・マーズはお母さんがフィリピン人で、ハワイで生まれ育った、という点で、日本人にとっては少なくともテイラー・スウィフトより少しは出自的な近さを感じるのかもしれない。でも言うまでもなくそれが理由で人気が高いわけではない。

テイラー・スウィフトとの比較で言うならば、テイラーが「カントリー」→「ポップ」というアメリカ白人音楽の王道を白人SSWとしてそのまま体現してきたのに対して、ブルーノは「プレスリーのモノマネ」→「ブラックミュージック」といずれも自分自身の人種的アイデンティティとはねじれの関係にある音楽キャリアを歩んできた。そのブルーノの音楽との位置関係が日本人のそれと近しいのだと思う。僕らは無意識にブルーノに近さと安心感を感じるのだ。(山崎洋一郎)
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