フー・ファイターズ、遂に大復活! 新曲リリースから6月発売の新作『バット・ヒア・ウィ・アー』を経てフジロックへ。テイラー急逝を乗り超えたフーファイ新章から目が離せない

フー・ファイターズ、遂に大復活! 新曲リリースから6月発売の新作『バット・ヒア・ウィ・アー』を経てフジロックへ。テイラー急逝を乗り超えたフーファイ新章から目が離せない - rockin'on 2023年6月号 中面rockin'on 2023年6月号 中面

新しい物語の始まりが告げられたのは4月12日のこと。フー・ファイターズのSNSに「僕が考えていることを君は考えている?」という意味ありげなメッセージが、新曲の断片らしきものをバックグラウンドに伴いながらアップされた。

そして、それからちょうど1週間を経て正真正銘の新曲がリリースされたのだった。“レスキュード”と銘打たれたこの曲は、実に彼ららしいポジティブで希望的な力強さに溢れたロックチューンだが、先に発信されていたあのメッセージとともに《僕は救われるのを待っている/僕を生き返らせてくれ/僕らはみんな今夜、救われるのを待っている》といった言葉が繰り返されるもの。その歌詞自体はロックアンセムとして典型的ともいえるが、このバンドが辿ってきた道程を思うと、思わず口ずさみたくなるばかりではなく涙がこぼれそうにもなる。

ドラマーのテイラー・ホーキンスが、2022年3月に急逝。彼らはそれ以降の計画をすべて白紙に戻して沈黙を守り続けてきたが、同年末にはバンドとしての継続の意向を表明。デイヴ・グロールがテイラーに対して血よりも濃い繋がりを感じていたであろうことは彼の自伝で綴られている内容からも明らかであり、その損失がいかに大きな痛手となったかについては想像を絶するものがある。ただ、あの悲劇からわずか13ヵ月後に新曲が届けられ、しかも6月2日には『バット・ヒア・ウィ・アー』と題されたニューアルバムが発売を迎えることになるというのだから驚かずにはいられない。

バンドのオフィシャルサイト上には「驚異的損失、個人的内省、ほろ苦い記憶に満ちた年を経ての帰還」「この作品は音楽、友情、家族の癒しの力の証」といった記述もみられ、前2作に続きグレッグ・カースティンとタッグを組んで制作されたこの第11作については「新たな人生の最初の章」と位置付けられている。

5月24日からは大型フェス出演を中心とする新たなツアーが始まることもすでに公表されているが、テイラーの不在を彼らがどのように埋めようとしているのかは本稿を書いている4月下旬の時点では明かされていない。しかし、まずはこの帰還に拍手を送りたい。僕らが「まさかこんなに早く戻って来てくれるなんて」と感じているのと同じように、彼ら自身もこの現実に驚いているのかもしれない。 (増田勇一)



フー・ファイターズの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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