最新アルバム『その瞬間、見えた風景。』を携えてのステージ。まず、『東京物語』から3作続いてきたハーフエレクトロニックな作風が、lukiの生々しいエモーションと完璧に融和するという点で、新作同様に素晴らしいパフォーマンスだった。

さらに、新作の全16曲を収録曲順に披露する、というステージコンセプトが告げられた時点で、内心ガッツポーズである。この曲とこの曲にはそういう接点があったのか、と気づかされるのは楽しかったし、何と言っても新作の最終トラックだったタイトルチューンが、言葉を失うほど凄まじい一曲だからだ。

一瞬の風景や心象を切り取り、ディテールに踏み込むことで鮮やかに物語化するという作風は、lukiというアーティストの最大の武器だ。アルバムの最終トラックは、これまでのluki作品の極致と言える。この曲を生み出してくれたことに心から賛辞を送りたいし、lukiという人に正対するようなライブのクライマックスに、この曲があって良かった。

後日公開のライブレポートを書きます。『その瞬間、見えた風景。』というアルバムにまだ触れていない人は、ぜひ通して聴いてみてください。（小池宏和）