KANA-BOON『Origin』を聴いた

KANA-BOON『Origin』を聴いた
まっすぐな思いを本当にまっすぐなまま伝えようとすると、それは長い長い1冊の本のようになってしまうだろう。
もしかしたら、それを文学でやろうとしている人は何冊本を書いてもまだそれが本当にまっすぐなまま伝わらないと思いながら本を書きつづけるのかもしれない。
音楽も、もしかしたらまっすぐな思いを本当にまっすぐなまま伝えようとすると、長い長い音楽で書いた本のようになってしまうのかもしれない。
でも音楽の場合は、やっぱり「短くてシンプル」、もしくは「調度いいサイズ」であることも重要。

KANA-BOONの音楽は、まっすぐな思いを本当にまっすぐなまま、しかも「短くてシンプル」、もしくは「調度いいサイズ」で伝えるという意味で画期的だ。
多種多様なボキャブラリーや高度な表現テクニックを頭の中に詰め込んできたタイプではないし、世代感としてもそうではない。
でも本当に好きな色はそろっている絵の具ケースと指に馴染みきった筆を携えて、長くなるくだりを伝わりやすくシンプルな音楽の絵に次々とまとめあげていく特別な才能が彼らにはある。

2月17日にリリースされる最新アルバム『Origin』は、KANA-BOONのその才能がいよいよ熟成して、その根源にあるまっすぐな思いが本当にまっすぐに伝わってくる最高傑作だ。(古河)
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