何はさておき必見の映画『グランド・ブダペスト・ホテル』公開中!

何はさておき必見の映画『グランド・ブダペスト・ホテル』公開中!

スクリーンに映し出されるすべての人や物や風景に恋したくなる最高の映画。ついに6日、金曜日から公開された ウェス・アンダーソン監督の最高傑作『グランド・ブダぺスト・ホテル』、ベルリンで銀熊賞を受賞するなどすでに評判はいきわたっていると思うけど、絶対に、絶対に、映画館で観てほしい。 
スリリングで先のまったくよめないミステリー的展開も、愛と批評性に溢れた毒気とユーモアも、ファンタジックな冒険活劇譚も、1シーン1シーンが名画のような美しく完璧な美術や映像も、そしてなにより豪華俳優陣が演じるぶっとんだキャラクターたちも、そのすべてが信じられないくらいいきいきと輝いていて、つまり、「映画」という表現の醍醐味を全身で感じさせてくれる、たまらなく幸福な作品なのだ。こんなにすべてが揃っている映画、滅多にありません。
伝説のコンシェルジュ・グスタヴ役のレイフ・ファインズ×ティルダ・スウィントンとの熟成した恋や、その弟子であるベルボーイ・ゼロ役のトニー・レヴォロリ×シアーシャ・ローナンの甘酸っぱい恋、エイドリアン・ブロディー×ウィレム・デフォーの黒い悪役コンビも最高に怖くてかっこいい! ジュード・ロウの名聞き手っぷりも。


ちなみに、映画ではナチを思わせる軍警察が出てくるが、ウェス・アンダーソンはシュテファン・ツヴァイクやハンナ・アーレントの「イェルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告」を参考にしたそう。先日、日本でも映画『ハンナ・アーレント』が公開されたばかりだが、これも興味深い映画だった(彼女自身の奔放な恋愛遍歴描写は少なかったけど)。「凡庸なる悪」「思考停止による悪」は原発問題を直視すべき責任を負った今の日本人は観るべき映画だと思う。岩波ホールなど上映場所が限られていたのだが、8月5日にDVD化されるのでぜひ!
(井上)
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