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ASTRO ARENA16:40

渾身の力で没入する、ディープな表現世界

昨年の『東京物語』に続き、今年は9月にフルアルバム『黒うさぎ』をリリースしたシンガーソングライターluki。深遠なエレクトロサウンドにソリッドなバンドサウンドが重なり、オープニング曲“爪痕”では黒いワンピース姿のlukiが、ハンドマイクで決意と情念を宿した歌声を放ってゆく。触れる者を否応なく巻き込む力強さだ。

「こんにちは、lukiと申します! 今日はステージに立たせて頂き、ありがとうございます。また、数あるステージの中からこちらに足を運んで頂き、ありがとうございます」と丁寧に感謝の思いを投げかけるのだが、続く“四角い箱にいた頃”で腕を振りながら伝えるエモーションはまたもや激しく渦巻き、エレクトロ×バンドの重厚なサウンドを突き抜けるように、ブルースハープを吹き鳴らす。嵐のようなサウンドスケープの中、生き難さを抱えた人の背中を押す一曲は“イコール”だ。

さてMCの場面では、この日電車で会場に向かった彼女が、海浜幕張駅で多くの来場者の熱気に触れ鼓舞されたものの、Suicaの残高が足りず自動改札でモタついてしまった、という失敗談を語る。「どうもご迷惑をお掛けしました」と笑いを誘い、新作中心のセットリストであることを説明して向かう勇壮なナンバーは“都会の漂流者”である。自身の表現に入り込む強さというか、いつでも心は臨戦態勢というか、ユーモラスなMCからの飛距離にまたもやおののかされた。

“ハイエナ”を披露したのち、「2015年は、皆様にとってどんな年でしたでしょうか。来年は、より一層輝く一年になるよう、お祈りいたします」と挨拶し、3月1日にShibuya LUSHで行われるワンマン公演についても告知すると、バンド一丸の推進力の中で歌い、またもやブルースハープを熱く吹き鳴らす“解けないパズル”でフィニッシュ。練り上げられた音楽スタイルと強靭な意志が、インパクトを残すステージであった。(小池宏和)

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luki

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