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パーマネントなバンドがありながら、優勝者に提供される音源制作費100万円があれば、ソロ名義でやりたいようにCDが作れるから、という理由でRO69JACK 11/12に応募したイツキライカ。純粋と言えば純粋な理由だが、風変わりと言えば風変わりだ。結果として、「のし上がったる」的モチヴェーションを持った猛者がひしめくオーディションで、本当に優勝をかっさらってしまったのだから、恐ろしい。しかも京都在住。……なるほど。RO69JACKに応募した楽曲“カントリーロード”はAメロBメロのみのシンプルな骨格で(しかしメロディはオーセンティックな香り高さに満ち溢れていた)、長い間奏は偏執狂的に複雑、という才気溢れる楽曲だった。ライヴではそういった要素が、他の曲も含めてどう表現されるのか注目していたが、これが見事、“カントリーロード”にあった要素を立体的に表現してみせた! 京都の良質なミュージシャンに共通する、ルーツ・ミュージックへの深い造詣、日本語の音楽を紡ぐ際の柔らかなセンスがいい。気負いを感じさせない飄々としたたたずまいも魅力的。2日目の開演早々にCOSMO STAGEに駆けつけたオーディエンスも、大器の片鱗を嗅ぎ取ったはずだ。(斉藤知太)