レッド・ツェッペリン"天国への階段"に盗作の審判が下る可能性は?

レッド・ツェッペリン"天国への階段"に盗作の審判が下る可能性は?

レッド・ツェッペリンの"天国への階段"が盗作だと訴えられている裁判で、訴訟を担当している裁判所の判事は盗作の有無の判断を陪審の審理にかけることを決定した。

訴えを起こしているのは、今はもう物故者となっているスピリットというバンドのギタリスト、ランディ・カリフォルニアことランディ・ウルフの遺産管財人。1971年に発表された"天国への階段"のイントロとなるアコースティック・ギターによるアルペジオ演奏が、1968年に発表されたスピリットのファースト・アルバム中の"Taurus"の中盤で登場する楽器演奏を盗用したものだと訴えている。両バンドは69年にフェスティヴァルで2度共演していて、さらにスピリットがツェッペリンの前座を務めたこともあることから、ジミー・ペイジがスピリットの楽曲盗用を行ったのではないかと裁判で争われている。

ゲイリー・クラウスナー判事は、問題のギターのアルペジオ演奏がどちらの曲においても「最も耳を惹き、重要な部分であるため」、そこに本質的な類似性があるかどうかを陪審団の協議によって判断する方が適切だと言い渡し、次のように説明した。

「4つの和音を半音階ずつ下降しながら進めるというコード進行は、確かに音楽業界では頻繁に見受けられる手法ではあるとしても、そうした楽曲構造よりもこの両者の類似性の方がここでは際立っています。この先行われるべきことは、この両作品の『コンセプトやフィーリング』を精査し評定することで、かかる作業についてはひとりの判事よりも陪審員団に託されるべきでしょう」

これまでレッド・ツェッペリン側はスピリットの楽曲やライヴからの影響はまったく考えられないと主張する一方で、スピリット側はツェッペリンとは何度かライヴをともにしていることに加え、ツェッペリンのメンバーもスピリットのライヴを観ているはずで影響は受けているはずだと反論している。

その一方で、ポピュラー・ミュージックの研究者でオーストラリア音楽院の講師陣でもあるチャールズ・フェアチャイルド教授は、今回の係争で争われている箇所のコード進行があまりにも基本的なものであることと、実際のアルペジオ演奏も通常のチューニングのギターなら誰にでも思いつくような演奏であるため、盗用として認められることはかなり難しいだろうと解説していて、基本的にはこれが支配的な見解だともみられている。

また、音楽関連の法律顧問として知られるジョン・アイルランド氏は、特に問題となっている演奏箇所が際立って似ているため、判事が陪審に判断を託したのは当然だろうとザ・ガーディアン紙に対して説明している。

さらに、同氏はスピリット側が言い分を通す為には問題の演奏箇所について著作権が発生することを証明しなければならないが、ツェッペリン側は特にこの箇所についてはあまりにもありきたりなコード進行とギター演奏によるものだと主張している為、なかなか難しいかもしれないと指摘している。

ただ、両者が一緒にツアーをしたという事実があり、ツェッペリンがスピリットの楽曲に接触した可能性があるかもしれないという、その一点だけで陪審がスピリットへの支持に傾く可能性もあるとアイルランド氏は解説している。なお、陪審による結審は5月10日に予定されている。
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする