【ライヴレポート】 1/21 クリープハイプ@赤坂BLITZ (新曲披露! 「わすれもの」ツアー東京公演)

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昨日、名古屋CLUB UPSETにてファイナルを迎えた、クリープハイプによる全国ツアー「わすれもの〜つま先はその先へ〜2016」。RO69では、2016年1月21日に赤坂BLITZにて行われた東京公演の模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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美しいライヴだった。1/14の札幌COLONYからスタートしたクリープハイプのツアー「わすれもの~つま先はその先へ~2016」は、かつて2012年春にアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビューを果たした直後、初のワンマンツアー「つま先はその先へ」で巡った全国7箇所のライヴハウスにあらためて足を運ぶというもの。その4公演目にあたる東京・赤坂BLITZ。2012年のツアーではファイナルの舞台だった。開演時間直前に、ポ○チン太郎を名乗る影ナレの案内で、ファストな16ビートに突き動かされるような音源がプレイされ、集まったオーディエンスをどよめかせる。この時点では、楽曲の説明はされなかった。

いつもどおりライヴ機材しかない殺風景なステージに、SEもなく小川幸慈(G)、小泉拓(Dr)、長谷川カオナシ(B)、ひと呼吸おいて尾崎世界観(Vo・G)が登場。裸足の尾崎は「何年前かなあ、緊張して、足が震えて仕方がなかったけど、今はしっかりと2本の足で立ってます。そのときは、(会場が)でかくて仕方がなかったけど、全っ然小さいね、ここね!」と成長の自信が漲るMCで大歓声を誘い、『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』のオープニング曲“愛の標識”を、性急にまくしたてていった。

間髪入れずに小泉の四つ打ちと小川の空間系ギターリフが立ち上がり、尾崎と長谷川のスイッチングヴォーカルで繰り出されるのは“NE-TAXI”だ。曲の切迫感を受け止めながらも、フロアが激しく波打つ。続いてスリリングに音を交錯させ“左耳”へと向かい、メジャーデビュー当時までのレパートリーが多めな選曲になっていることを窺わせる。しかし、ここで挟み込まれた目下の最新シングル曲“リバーシブルー”は、アレンジの素晴らしさといい、昂るほどに切れ味を増す演奏といい、ただのノスタルジーではない、クリープハイプの今を映し出すライヴであることを伝えていた。

十分に盛り上がってはいるのだけれど、痛烈な楽曲群の力なのか、クリープハイプのライヴは昔から、ある種の程よい緊張感がフロアに立ち込めている。それを見透かしたように尾崎は「なんかこう、一体感がさ……いい方法あるんじゃないかなあ」とボヤくのだが、そこで小川が尾崎の肩を叩き、俺にまかせろ、と言わんばかりの素振りで喝采を巻き起こす。小川のギターが序盤からキレッキレだな、とは思っていたのだが、ここで鮮やかなギターイントロをぶっ放し“ABCDC”へと向かうのだった。

長谷川も負けじと、口上を述べて艶かしいスウィング感で“火まつり”を繰り出す。尾崎が「3年半ぐらい前はねえ、バイトやめたばっかりで、バイトに行かなくていいってのが嬉しかったです」と当時の苦労を笑い混じりに告げて“バイト バイト バイト”を披露すると、再び長谷川が見せ場を作る“グレーマンのせいにする”へ。そして、歌心がぽっかりと浮かび上がるような“風にふかれて”の名演へと繋いでいった。培われてきたバンドの表現力が、過去曲の魅力を次々に引き出してゆく手応えである。

「あのとき言えなかった言葉を言うためにライヴやってるんだけど、今からやる曲は、一番、あのときに言えなかった言葉だと思います」と語って届けられる“二十九、三十”は、自信だけが財産だった頃の尾崎を想像させて思わず泣きそうになる。その直後、またもや小川が猛烈なギタープレイで煽り立てる”あ”からの、“身も蓋もない水槽”、“社会の窓”、“HE IS MINE”という連打は、普通ならライヴのクライマックスじゃないか、という問答無用の熱狂を作り上げるものだった。

さて、COUNTDOWN JAPAN 15/16のステージで、父・マサルさんと喧嘩中であることを報告した尾崎だが、そのマサルさんにモバイルサイトの題字執筆を頼んでいるということで、オーディエンスに助けを借りて「マサルお願ーい!!」のコールを巻き起こす。しどろもどろに相槌を打つ長谷川をいじったあと、“リグレット”で再点火。「この中に何人いるでしょうか。ヤリマンの歌を歌います」と“SHE IS FINE”も繰り出される。記憶をなぞるツアーについて尾崎は「どうせ、忘れるんだろうな。忘れなかったら、曲を作る必要も、ライヴをやる必要もないし」「いいことだけ、いいことだけ覚えていきたいと思います」と語り、4人はやはりクリアなままのサウンドで、“手と手”までの本編を駆け抜けていった。

フロアから、この1月に誕生日を迎えた小泉を祝福する声も届けられたアンコールでは、3月にニューシングルをリリースすることを告知。開演前にも演奏した、新しい時間を紡ぎ始めるような力強い新曲が披露された。そして最後には、“リバーシブルー”のカップリング曲であり、ツアータイトルにも用いられた“わすれもの”が、《わすれもの取りにいくなら ずっとここで待ってるね/これで離れ離れになるのは なんとなくわかってるけど》という歌詞と共に放たれる。

忘れる、という能力が無ければ、人は生きられないと言う。記憶とは本来、それほどに強い刺激を持つものなのだ。飾り気のないステージで、丸裸のロックサウンドで、美化されない記憶をただ鮮やかに呼び起こすクリープハイプの姿は、とてつもなく刺激的で、美しかった。かつてツアーして回った会場だけでは当然、今の需要には応え切れないわけで、2月からは全国8本の追加公演「たぶんちょうど、そんな感じ」が行われる。(小池宏和)

●セットリスト

01. 愛の標識
02. NE-TAXI
03. 左耳
04. リバーシブルー
05. ABCDC
06. 週刊誌
07. 火まつり
08. おやすみ泣き声、さよなら歌姫
09. バイト バイト バイト
10. グレーマンのせいにする
11. 風にふかれて
12. 二十九、三十
13. あ
14. 身も蓋もない水槽
15. 社会の窓
16. HE IS MINE
17. リグレット
18. 蜂蜜と風呂場
19. SHE IS FINE
20. イノチミジカシコイセヨオトメ
21. 手と手
(encore)
22. 新曲
23. わすれもの

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