luki、圧倒的クオリティで魅せた『黒うさぎ』の真価。待望のレコ発ワンマンを観た!

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2015年10月29日、lukiの「黒うさぎ」リリース記念ワンマンライブがTSUTAYA O-nestにて開催された。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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女性シンガーソングライターのlukiが、9月9日にリリースしたアルバム『黒うさぎ』を携えて行うワンマンライヴ。ちょうど1ヵ月前には、今回と同じくTSUTAYA O-nestで3マンイベントに出演したのだが(その時のレポートはこちら→http://ro69.jp/live/detail/131823)、いよいよ『黒うさぎ』モードのステージがその全貌を見せることになる。昨年リリースした『東京物語』がlukiにとって初のフルアルバムだったけれど、彼女はブルースハープを吹き鳴らすロックから、緻密なポストロック/エレクトロニカの歌まで、強烈な批評精神をもってスタイルを刷新し続けてきたアーティストである。彼女の人間味溢れるパーソナリティと音楽探求が揃って露わになり、1曲1曲に込めた思いが確かに伝わる、素晴らしいショウであった。

ギタリストとドラマー、マニピュレーター的な役割も果たすキーボード奏者と3人の辣腕バンドメンバーと共に姿を見せたluki。オープニングは前回のイベント時と同じく“爪痕”~“黒うさぎ”と新作の曲を続けて披露、ヘヴィかつシリアスに迫るエレクトロ混じりのバンドサウンドが、決して平坦ではない日常の歌を後押ししてゆく。人の汚い部分を食べるという黒うさぎ。その想像力の産物であるキャラクターが、luki自身に憑依するかのようなパフォーマンスだ。心の中の暗い一面から目を逸らさずに感情表現へと落とし込む、lukiのタフなスピリットが垣間見える。

オーディエンスに感謝と歓迎の思いを伝えながら、彼女は苦心のアルバム制作とライヴの喜びについて語り、「曲というのは、ライヴで披露してこそ完成するものだと思います。今日は皆さまと、曲を熟成させていきたいと思います」と“都会の漂流者”に向かう。都会の歌なのに、その楽曲は途方に暮れるほど広大な視界と、孤独に抗うための勇ましいメッセージに満たされている。フォーキーなアコギの音色も情緒を膨らませていた。そこから一転、“世界が水玉になる日”では、lukiのガーリーで愛らしい節回しが溢れてくる。ドラムパッドも用いられているけれど、柔らかくオーガニックにデザインされたアレンジが秀逸だ。スタイルを切り替える歌声がどれもクリアに響くおかげで、練り込まれた作曲の根幹が伝わるのは“温室の薔薇”も同様であった。

ここでlukiは、彼女の中にある風景を描くことから作曲が始まる、というスタイルについて語り出す。六本木で待ち合わせたカップルがカフェで喧嘩をはじめてしまい……(店舗名など固有名詞を出しながらの細かい場面設定だ)という風景と物語の熱弁でオーディエンスの笑いを誘い、前作『東京物語』に収められた“曖昧なファンタジー”を披露する。文学や映画についての造詣の深さもまた彼女の持ち味だが、楽曲を支える風景の緻密な描写には舌を巻く。ソリッドなポストダブステップから情念が立ち上る“KISS OR KILL”や、歌うようなブルースハープが映えるインスト曲“深淵の揺らぎ”といった『東京物語』の楽曲が並ぶ合間には、2013年に他界した敬愛する作家・佐藤亜有子に寄せて作曲したという“麻酔”も届けられた。

“熱気球”では、決して声を張り上げるわけでもないのに、エモーショナルに響くクリーントーンの歌声を発しながら大きく身をよじらせるluki。ところがMCの場面となると、走ることが好きで5kmの次は10km、20kmの次はフルマラソンと一気に距離を伸ばしてしまいがちな「倍々の法則」について語ったりして、実にユーモラス。装備を揃えて挑んだトレイルマラソン(山岳地帯を走る競技)で転んで骨折してしまい(公式ブログによると人生初骨折らしい)、「備えはあっても憂いはあります。次はそんな曲」と“解けないパズル”へと繋いでゆく。そんな曲だったのか、とここでも驚かされたり笑わされたりするわけだが、迷いながら日々を駆け抜けるそのロックソングは、lukiの内面を鮮やかに映し出すようだった。

そして本編終盤は、爆発力に満ちたワイルドなナンバー“ハイエナ”を経て、「なかなか人間が出来ていないので、他人を羨んだり悲しんだり。でもみんな同じというか、平等というか、理想ではありますが、他人を羨んだりしないようになれればいいな、という思いを込めて作った曲です」と“イコール”が届けられる。EDM風の鮮烈なシンセリフが、強い意志とシンクロするように意味を帯び、彼女は飛び跳ねるようにしてこの曲を歌っていた。さらに、アンコールの催促に応えると、“曖昧なファンタジー”の後日談となる楽曲を紹介する。喧嘩別れした女の子が、ドンキホーテで大量のチョコレートを買い込み……と語られるストーリーは、ちょっとシュールというか、ブラックジョーク的なところもあったが、僕はこのセンスが大好きだ。この可愛らしいボッサ風の“銀の星”で『黒うさぎ』の全曲を完走。セットリストのコンセプトも素晴らしい、観るたびに魅力が深まるステージであった。(小池宏和)


●セットリスト

01. 爪痕
02. 黒うさぎ
03. 都会の漂流者
04. 世界が水玉になる日
05. 温室の薔薇
06. 曖昧なファンタジー
07. KISS OR KILL
08. 麻酔
09. 深淵の揺らぎ
10. 四角い箱にいた頃
11. 熱気球
12. 解けないパズル
13. ハイエナ
14. イコール
(encore)
15. 銀の星

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