NINのトレント・レズナー、ロックンロール名誉の殿堂入りノミネートなど近況を語る

NINのトレント・レズナー、ロックンロール名誉の殿堂入りノミネートなど近況を語る

8月で『ヘジテイション・マークス』のツアーを終え、ライヴ映像作品のリリースを控えていると伝えられているナイン・インチ・ネイルズだが、トレント・レズナーは先頃ロックンロール名誉の殿堂入りの候補に挙がったことなどについて語っている。

ビルボード誌のロング・インタヴューに応えたトレントは『ヘジテイション・マークス』の制作にアーケイド・ファイアやコールドプレイ、ビョークなどとの仕事で知られるマーカス・ドラヴスとの作業を続けていたことを明らかにしていて、うまくいかなかった経緯を次のように説明している。

「マーカスは曲を中心に考えていくやつで、俺たちみたいなスタジオ・オタクでエンジニア肌の感性とは違うんだよ。別にマーカスをここでこきおろしたいわけじゃないんだよ。ここで悪く言いたいわけじゃないんだから。ただね、『この曲にはたくさん人を呼んでアンサンブルをやってみようよ』とか『これはアレンジャーを雇わないと』っていう感じで、なんか全然ちゃんと発展しそうな感じじゃなかったんだよね。マーカスについては敬意も払っているし、別に喧嘩別れしたわけじゃないんだ。マーカスの役割っていうのは、今度のアルバムについては自分たちの直感や本能を信じるのが一番いいんだということをわからせてくれたってことなんだよ。出来上がった作品について俺はすごく誇りに思えたしね。俺には今度の作品でまったく新しく蘇生したように思えたんだ」

また、ロックンロール名誉の殿堂入りの候補になったことについては次のように語っている。

「(自分にとってどんな意味を持つかどうかについては)自分じゃよくわからないな。グラミー賞でくそみたいな賞をね、最優秀メタル・パフォーマンス賞とかいうのをもらって、そこに誠実なものとか純粋さがあるとはとても考えにくいよね。受賞に関係している政治とか、なんだかんだいって視聴率を競っているテレビ番組にしか過ぎないっていう事実を考えても、俺としては賞の世界については否定的にならざるをえないものがあったよ」

その一方でトレントは自身がサントラを手がけた映画『ソーシャル・ネットワーク』の音楽がアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞を受賞した時には、賞としてもっと誠実さを感じたと話しているが、だからといって自分の人生が変わったかといえば、別にそんなことはなかったと説明している。また、ロックンロール名誉の殿堂入りそのものについては、現在殿堂施設のあるオハイオ州クリーヴランドでかつて音楽機材店のスタッフとして働いていたことがあり、殿堂をクリーヴランドに誘致する際にトレント自身も音楽店のスタッフとしてキャンペーンの協力をしたことがあると明かしていて、実はロックンロール名誉の殿堂について自分が一番関心を持ったのはそのキャンペーンの時が最初で最後だと語っている。しかし、殿堂入りすることになれば、それは名誉なことだと感じると心境を明らかにしている。

さらに自身がクリエイティヴ面でのスタッフとして関わっていたストリーミング・サービス、ビーツ・ミュージックについては「ビーツはアップルに買収されたんだけど、アップルからアップルの商品の設計をしてもらえないかと直接オファーをもらった」と明らかにしているが、詳細についてはまだなにも明かせないと語っている。

また、U2が新作『ソングス・オブ・イノセンス』を無料配信したことについては、バンドがなにを求めていたのかはよくわかると次のように語っている。

「アーティストとして音楽作品を作ったら、みんなにはリリースされているんだってわかってもらいたいものなんだ。無理強いはしたくないけど、もし興味を持ってくれているんだったら俺の作品とも遭遇することはできるんだよって知っておいてもらいたいんだよね。そうやってこの世に存在してるんだって知ってもらいたいんだ。だから、俺にはU2がなにを動機にしていたのかはよくわかるんだよ。あの日、俺はボノと一緒にいたわけだしね。あの日のアップルのイヴェントに出席していて、あの無料配信をやった後もしばらく一緒にいたんだよ。ボノは何年もかけて制作してきたこのアルバムにとてつもない誇りを感じていたんだよ。自分たちが作り上げた作品にとても誇らしく思っていたんだ。

だから、あの時のキャッチフレーズの文句が間違ってたように思うんだ。『さあ、ここに出来てるよ、もしほしかったらお好きに持っていってくれ』っていうもんだったらよかったと思うんだけどね。あの場の状況や空気と勢いのせいで、ユーザーのみんなが土足で踏み荒らされたような気持ちになってしまうっていうことを見過ごすことになったんじゃないかと俺は思ってるんだけどね」

また、U2の今回のリリースによって音楽の価値がよりいっそう下がってしまったように思うかという問いにはそうだといわざるを得ないとトレントは語っていて、ユーチューブで無料で音楽を聴いているリスナーが現に大勢いる現状ではこれはとても複雑な問いなのだと問題提起している。

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