最後かもしれないストーンズを目に焼き付ける

最後かもしれないストーンズを目に焼き付ける

初日はネタばれになるので書けなかったことも今日は書ける。
まるでライブハウスで観ているような気がした。
定番の花火も巨大バルーンも出島でのアコースティック・セットも一切なし。演出らしいものは「悪魔を憐れむ歌」の炎ぐらいで、後はひたすら演奏の肉体性によって2時間を走り抜ける。
お金のかかった巨大セットだけど、デザインはシンプル。視覚的な仕掛けは中央の巨大なビジョンのみ。そこに映るのもステージの演奏映像が主体だ。
ステージの照明は明るく、常にメンバーには強い白のライトが当たっている。
PAのミックスはとてもクリアで、各パートの音がはっきりと聞き分けられる。
そうしたことによって浮かび上がって来るのは、バンドの肉体性と音のリアルだ。
明らかにストーンズは今回のステージで、現在の自分たちの等身大の姿を曝すことにより、ロック・バンドとしてのリアルを主張していた。
思い切り現世感溢れるミックの鍛えた肉体も、来世から響くようなギターを鳴らすキースの老いた肉体も、全てが今のストーンズのリアルであり、そのリアルが叩きだすロックに対する絶対的な自信が、今回のシンプルな演出に繋がったのだ。
ミック・テイラーが素晴らしかった。「ミッドナイト・ランブラー」は今回のハイライトのひとつだった。彼が居れば、あのグルーヴと演奏の安定が保障される。それはメンバーは百も承知である。しかし、ミック・テイラーは数曲しか参加しない。あくまでもメンバーだけの演奏を貫く。
平均年齢がほぼ70歳になるバンドが、そうした完全に武装放棄したライブを演りながら、あの巨大なグルーヴを生み出していく奇跡。凄かった。本当に凄かった。
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