『ロッキング・オン』2月号では、毎年恒例の新春しみじみ企画「今から30年前、あの頃ロックは……」を掲載。
今から30年前の1993年、ロックに何が起こっていたのか? 粉川しの(音楽ライター/当時18歳・高校3年生)と、高見展(音楽ライター/当時32歳)が語り合った対談を、一部抜粋してご紹介。
粉川しの(以下、粉)「どうですか? 93年のリリース作品を見てみて」
高見展(以下、高)「すごい90年代っぽいよね。93年なんだけど、90年代全般を感じさせるリリースになっていると思う」
粉「90年代って、91年と、94年と、97年がエポックメイキングだっていう言われ方をしていて。93年って、アメリカ的に見ると、コップの水がこぼれ落ちる瞬間みたいな。オルタナティブがどんどんメジャー化していって、その象徴的なアルバムが、ニルヴァーナの『イン・ユーテロ』とパール・ジャムの『Vs.』。この2枚は、むちゃくちゃ対照的な、グランジブームへの回答というか」
高「そう。ニルヴァーナは徹底的に」
粉「拒絶、ですよね。『今売れている、オルタナティブと名乗っているものと、俺たちは何ひとつ関係ありません宣言』ですからね」
高「対してパール・ジャムは、ロックの本流になろうとしていく感じ」
粉「グランジっぽい、ぬめぬめした音がなくなって、オーガニックなロックサウンドになって。グランジブーム後遺症の対処方法がまったく違う。カートが翌年ああなってしまったのは、『イン・ユーテロ』があまりにも決定的すぎたからっていう。パール・ジャムは、もうちょっと現状を踏まえていた感じだけど」
高「でも『イン・ユーテロ』は、ニルヴァーナらしい終わり方だった。この先もうないんだろうなっていう。自分たちの出自にけじめをつけたっていうか、どこまでも正直にやったのがすごいと思いますね」
(以下、本誌記事へ続く)
1993年を振り返った対談は、現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
Instagramはじめました!フォロー&いいね、お待ちしております。